株式会社faith planning design(東京神楽坂・デザイン制作会社)在職期間中、いくつかの印刷物デザインを担当させていただいたVASC(Vocal Arts Service Center)様。 VASC様とのお仕事はどれも心に深く残るもので、株式会社faith planning designの許可をいただき、こちらへ掲載させていただきます。 * 芸術分野であるVASC様からのお仕事は、テーマをどこまで理解し切れるかがまず大切でした。 こちらの「Vocal Arts Theater NO.1 うた」「Vocal Arts Theater NO.2 ことば」では、花が咲き種が実る、といった、次へつながるものというテーマがありました。 伝統を踏襲し次へつなげるVASC様の活動に、日本のどこにでもある植物を選択。花や果物の絵を鉛筆で描きます。古風な雰囲気を出すためにガサリとしたテクスチャが必要で、描いた後にもPhotoshopでの加工を施します。 “あけび”を“akebi”と、“りんご”を“ringo”と書いているのは日本の“音”へのこだわりです。 大きな円と三角で白くくり抜いたのはVASC様からの発案でした。入れることで一気に全てが際立つことが叶いました。 VASC様は特色での印刷を選択されることも多く、この時も特色1色刷りを選択されました。 担当の営業職者と一緒にDICカラーを何度も何度も見ながら、前後に発進したものや発進される季節を視野に入れながら、色を選択していきます。 相当なDICカラーの種類がそろっているfaith planning designでしたが、全てのDICカラーを見てもVASC様ご希望の色味が見つからない…というのが、このチラシの“赤”でした。 最終的に「コレとコレの中間にある色」と2つのDICカラーチップを付けて印刷の現場へ発注。色校正を取りますが、「違う」「違う」。希望の色にならず、確認を繰り返します。 期日も迫り、もう本刷りしなくては…と、印刷現場へ託し、本刷りを。 「こんな色になってしまいました…」と見せていただいた色は、まさにVASC様が求められていた色で、ご依頼主と制作側と印刷現場とが一丸となって本気で制作にあたった結果としてついてきてくれるもの、そんなものを感じた出来事でした。 始終「もっと良く。より良く。」というエネルギーに満ちていたこの制作。「ここまでやってくれたのだから。」とおっしゃっていただきましたが、私からは、「常に本気でお仕事をされてみえるVASC様の少しでもお力になれたら。」という気持ちで制作にあたらせていただいています。 誇らしく、公演までのチラシ配布、そして公演当日まで迎えていただくことへの、微力なりお力になれたらと思い、印刷媒体制作側として制作にあたらせていただいています。 faith planning designに在職してから何度も携わらせていただいたVASC様の事業。一度は観てみたいと思っていました。「Vocal Arts Theater」ではそれが叶い、会場全体を別世界にしてしまうその表現を初めて体験しました。最低限の舞台装飾の上で、表現者による表現によってどこにでもいざなうその力は圧巻でした。 本番後のスタッフ会食で順繰りにスタッフを紹介されていく中、「パートナー」として壇上にご紹介いただいた時の感動は私の心に深く刻まれています。若手演者のひとりが「佐野さんのデザイン大好きです!」と言ってくれたことは、私がデザインのお仕事をしていく中で、大きな力となってくれています。 * 株式会社faith planning design在職期間中のVASC様のお仕事はデザインを担当している者こそ私ですが、お仕事を共にしている仲間や担当の営業職者の助言あっての完成です。そしてVASC様の鋭いご意見は必要不可欠でした。 大変良い環境でお仕事をさせていただいていたことを今も心より感謝しています。 |